父、大笑いする。 [父]

 前回のブログで、他の利用者さんとの交流が父にはほとんどないと書きました。だからと言って、父は周りのことを何も分かってない、気にも止めてない、という訳ではありません。

 mizumiuが父に話しかけるとちゃんと反応するし、母の声かけがあると母の方に顔を向けます。時々、同じテーブルに座っている利用者さんをじっと見たりもします。mizumiuは何度もしつこく話しかけたりするので、うるさそうにしていることもあるし、ちゃんと会話が成立する時もあるので、いろいろなことが分かっているんだろうなと感じています。

 先月の始め頃でしたか、よく覚えていないのですが、父と母が昼食を終えた頃に会いに行った時のことです。食器の片付けをしている職員さんが、mizumiuを見るなり、「今日、Yさん(父の名前)、大笑いしたんですよ。笑いすぎて、食事が出来ないくらいでした」と報告してくれました。

「ん?父が大笑い?なぜに?」と思って聞いてみると、「今日Yさんの前に、ふじさんという女性が座って食事を取ったんですけど、私たち職員は、彼女のことを『世界一のふじさん』って呼んでいるんですね。ふじという名前と、世界遺産になった富士山とをかけているんですけど、Yさんには、ふじ、世界遺産、富士山がピピピって繋がったんでしょうね。私たち職員のしゃれが分かったみたいで、大笑いしたんですよ!あんなに笑うYさんは初めて見ました!」と、とても嬉しそうに楽しそうに話してくれました。それを聞いてmizumiuも「へえ、そうだったんですか〜」と嬉しくなると同時に、父は富士山が世界遺産になったことを知っていたんだ、いろいろな情報が父には入ってきているんだと、驚きでもありました。

 それで父の姿を探し、食後の口腔ケアを待っている父のところに行ったら、すぐ側にいた職員さんも、「今日Yさん、大爆笑だったんですよ〜!」と父が大笑いしたことを話してくれました。「こんなに大笑いするYさん初めて見たから、職員全員驚いたんですよ。みんな嬉しくなりました」とmizumiuに話している側から、なんと父は思い出し笑いしていたのです。「ほら、Yさん、また笑っている!」と職員さんが言いました。

 「お父さん、ふじさん、世界遺産、富士山で、世界のふじさんって呼んでたから、おかしかったんの〜?」と聞くと、父は笑いながら頷きました。その時の父の幸せそうな顔と言ったらなかったです。本当に心の底からの笑顔でした。この「大笑い」はたまたまの偶然で起きたことですが、父が喜んでいる顔を見られたのは、本当にラッキーでした。あれほど笑ったのは、あの時だけでしたが、父も笑うことが出来る、周りのことをちゃんと理解しているということも分かりました。それだけで十分です。とても大きな贈り物でした。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。