父の発する言葉に、返す言葉を選びます。 [父]

 普段、父はほとんど発語しません。最近は、かすれた声で「んー」と返事したりしますが、問いかけに目を向けたりしても、すぐ閉じてしまうこともあります。



 そんな父が発する言葉を聞くと、mizumiuが言っていることや、周りのことをちゃんと理解しているんだなと分かるので、「そうだよね〜と」相づちを打ちながら、出来るだけ正確に返事をします。大体は、父に正直な状況を話すことしかできませんけれど。

 父の足をマッサージしていた時のこと、足からの刺激を感じるのか、少し頭を持ち上げてmizumiuを見つめます。父の両足はだいぶ硬直が進んでいるので、mizumiuは父の腰や足の向きに合わせた体勢になるので、ベットに横向きに寝ているような格好でマッサージをしています。そんなmizumiuを覗き込む父に、「気持ちいい?」と聞くと、何の反応もせずに頭をベットに戻します。しばらくするとまた覗き込むので、「痛い?」と聞くと首を横に振るので、続けて大丈夫だなと判断します。その間、mizumiuは適当なことを一人でしゃべったりしてます。

 しばらくして父がボソッと「お家へ帰ろう」と言いました。胸に響く一言でした。「父は家に帰りたいんだな〜、でも家で父の介護は、mizumiu一人では厳しいな〜」と頭の中で独り言が進みます。そこでmizumiuは、父に状況を説明します。「お家がいいよね。でも、お父さんのことを介護していたら、mizumiuは何もできないよ〜。お正月は楽しかったね〜。でもすぐには無理だけど、もうちょっと温かくなったら、また少しお家に帰ろうね。それまでは、こうやってお見舞いに来るからね〜」と。たぶん、父は全部理解して聞いていると思うので、すぐに忘れるかもしれませんけれど、適当な返事はしません。

 今の父の状態は、体重も増加してきており、退所出来るほどに体力もあり、体調も安定しています。とても喜ばしいことですが、全介助になった父のベットや車椅子への移乗はmizumiuにはとても負担が大きく、食事の世話もとても大変です。でも年末年始にちょっとだけ家に帰ってきたら、とても元気になった父を見ているので、家に連れて帰れないのは、やはり少し心が痛みます。

 また別の日のこと。父の食事の介助をした後、口腔ケアをしてもらうために父の車椅子を押して、洗面所の近くまで行き、あとは職員さんに任せてmizumiuは帰ろうとした時のことです。「お父さん、mizumiuは帰りましょうね。またお見舞いに来るからね。じゃあね」と言ったら、「ちょっと早いんじゃない?」と返されました。「お〜、父上殿!食事の介助は20分足らずだけど、今日は母上のケアマネとの面談、リハビリ担当者と装具屋さんと母上の装具の試し履きの立ち会いなどで、すでに2時間半も施設にいるのですよ〜」と心の中で叫ぶmizumiuでした。でも全然父にかまってなかったからしょうがないか〜と穏やかに「お父さん、また来るよ〜。mizumiuも夜ご飯の時間だから帰るね。口の中奇麗にしてもらってから、ゆっくり休んでね〜」と言うと、静かに頷く父でした。

 父が自ら声をかけてくれるのは、どんな言葉であっても嬉しいです。mizumiuがファザコンなんでしょうかね。そうであってもなくても、普段しゃべらない父が発する言葉には、うそがないので、父の本心を聞かされているみたいな気になっているのかも、です。なので、mizumiuも正直な態度でいようと思うのです。母も、「もう帰るの?まだいいじゃない?」みたいなことを言ったりするので、その時も、そのまま対応します。まぁ母には、冗談で返したりして、少しは楽しみます。女同士は楽チンでいいです。

 
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