その時にならないと、だけど。 [介護etc.]

 以前から感じていたことで、最近、特に思うのですが。今まで介護をしてきたmizumiuが、まだ介護をしていない人の発言を聞いて思うことがあります。

 介護に限らず、その時になってみないと分からないことがたくさんあって、それゆえ経験した人とそうでない人の発言や考え方には開きが当然の如くあって、真剣に話をしたとしてもお互いを分かり合えないままに終わることもあるし、意図しない傷つけ合いをしてしまうこともあります。

 mizumiuも、介護がとても大変だと心境を吐露した時に、思いもよらない反応をされたことがあります。この人はこんな反応をしたけど、それ聞いてmizumiuがどう感じているかにはぜんぜん気づいていないんだな〜と暗い気持ちになり、それ以上は話さなくなったことがあります。ほんの些細なことです。でも何も経験したことのない人には分からなくても、渦中にいる人には、何気ない一言がずいぶんと堪える言葉だったりします。相手を配慮する気遣いが欠けているのですが、分かってもらえないんだなと、介護苦を一人で抱え込む人もいると思います。

 知らないが故に、または介護を現実のものとして考えないようにしているからなのか、必要以上に恐れて拒絶の反応をしたり、自分のこととして見ないようにしている人もいます。そういう人たちには、「介護って大変だよ〜」、「親が元気って、それだけで本当にありがたいんだよ〜」と言うようにしていますが、どれだけ伝わっているかは分かりません。

 「今、仕事をしているし子どももいる。その上、親の介護まで出来る訳がない、想像出来ない」、「兄弟姉妹に頼るしかない。でもそれぞれに家庭があるから…」、「自分の息子、娘に、自分たちの介護は出来ない。あの子達には無理。そうならないために自分はがんばる。介護が必要な状況になったら施設に入る」、「肥満の主人には、自分はあんたの介護はしないって言ってる。すぐに施設に入れるって…」。

 こういう反応を聞くと、「介護って突然やってくるんだよ。仕事辞めなきゃいけないことになることもあるんだよ。兄弟姉妹と協力できる関係なの?関係が悪化することもあるよ。介護しないって言い切ってるけど、施設に入れる手続きはあなたがやらなきゃいけないんだよ。その前にすぐに受け入れてくれる施設があるといいね。自分の子どもに苦労をかけたくないという気持ちは分かるけど、実際に介護を拒否された時のことを考えて、初めから期待しないことで心の負担を少しでも軽くしたいの?…」と思うことはたくさんあります。伝わるかな〜と思う人には言いますが、たまにその人の悩みや家庭事情を聞くこともあり、今のうちに何かしら手を打ったほうがいいよねとアドバイスしたりもします。

 
 何が言いたいかと言うと、別に介護の苦労を植え付けたい訳ではなく、その時にならないと分からないし、どんな準備をしていれば万全なのかということもないけれど、自分の問題として考える必要がありますよってことです。mizumiuは同年代の人たちよりは、たぶん、10年くらい先に親の介護を経験していますが、身内の介護を経験している女性達は世の中に大勢いて、これからは高齢者が増えていくだけなので、男性にも介護の役割が当然回ってくるし、男、女関係なく、親のこと、そして自分自身の介護のことを、自分の事として見ていく必要がありますよと言いたいのです。

 mizumiuも介護について何も知りませんでした。ただ、病院の高齢者対象の診療科でアルバイトをしていた経験があったので、高齢者の老いや病気によって自立度や認知度の差があることを知っていたし、物忘れや認知症に対しての偏見がなかったということはあります。だから、医者や病院、ケアマネージャー等との話を理解出来たし、それに対する対策をとることに関しては、協力する体勢を持っていました。

 それでもいろんなことを学びながら、母のリハビリや父の認知症に寄り添ってきたし、だんだんと老いが進んでいく両親を見てきました。一緒に住んでいながら介護に非協力的で、自分たちには分からないし出来ないと言う兄弟姉妹がいましたし、親戚や知人の介護経験をいろいろと聞いてきたので、介護で起こるであろう問題もたくさん知っています。もちろん、家族全員で協力し合える人たちもいるかと思います。でも、協力したくても出来ない状況というのもあるし、最初に書いたように、意図しない傷つけ合いをしたりすることもあるでしょう。

 そういう中で、自分自身を見失うことなく生活していくことを選ぶように出来たらいいなと思います。介護する側だけでなく、介護される年齢に近くなるとか、元気で動けるのはあと何年くらいと、タイムリミットを考えるようになった方たちは特に、自分が死ぬまでにどのような生活をしたいのかを考えて準備する必要があると思います。それが周りの家族にとって、どれだけありがたいことか。mizumiuは両親からすべてを丸投げされました。大変でした。まだ大変です。(これはまた別のブログで書きます。)
 
 老いていくことは誰にも止められないし、高齢者が増える一方ということも日本人なら分かっている事です。やれることは今すぐにでもやり始めた方がいいと思います。何を?と言われたら、何でもいいからとしか言えません。親に電話をかけることだったり、自分の健康を維持することだったり、老人ホームの入所費用を調べる事だったり、なんでも、です。でも、テレビで報道される「介護問題」を見て、気分が滅入るようであれば、見ない方がいいと思います。老いていくことは人それぞれで、如何様にも捉える事が出来るし、年を重ねてもやれる事も学べる事もたくさんあります。自分がどうしたいか選択をする上で参考にする程度に見る分には構いませんが、それよりは近くにあるデイサービスやデイケアなど介護施設を見学させてもらって職員さんたちと話をしたり、実際に高齢者と接するような機会を持つ、自分の親と話をすることの方が何十倍もためになると思います。テレビの中の出来事ではなく、自分の事として介護を捉えることが出来ます。

 自分のお尻は自分で拭けとか、自己責任とか、因果応報とかそういうことだけを言いたいのではありません。もちろん自分の事を他人に頼ってばかりは論外ですし、誰かが助けてくれると呑気に構えてもらってはいけないと思います。反対に、いろんな苦労をして来た人たちは、特に家族や他所様に苦労をかけたくないという気持ちがあるというのもよくわかります。迷惑をかけたくないから…と、悲劇的な最後を迎える映画や小説もありますね。でも、親には散々迷惑をかけられた、様々な世話をしてきたmizumiuが言うのもなんですが、人には迷惑をかけてもいいと思っていたりします。お互い様なところはあるし、人は一人では生きていかれないからです。きれいごとでもなんでもなく、です。かといって、mizumiuが今まで経験して来た苦しい思い出や人間関係すべてを受け入れられているかといったらそうではありません。

 もちろん、ある程度の人間関係の土台があることが前提ですが、頼る人がいないとか、天涯孤独だった人たちも、助けが必要なら、周りに助けてと言って迷惑をかけてもいいと思います。様々な介護サービスがあります。自分には何が一番最適か、どうやって晩年を過ごそうか、今からある程度予備知識を入れておくことも大切です。介護が必要な時になって、助けを求められる人間であるのかが大事で、それって、その人の一生分の生き方を問われているような気がします。それに自分が助けを求められるか、頼りにされる人間であるのかも分かります。認知症や病気になってしまったら、人に頼むどころの騒ぎではないので、今のうちから、周りとの信頼関係を築くことも必要だと思います。今まで話もしなかった兄弟姉妹や親戚と話さなくてはならなくなるだろうし、さらに深い溝が出来るかもしれません。しかし介護を通じて、新たな関係を作れるかもしれません。

 今回のブログは、mizumiuの日頃感じていることを書きましたが、実は、mizumiu自身について書いてもいます。今までは両親にかかりっきりでしたが、ようやく自分自身のことも考えながら動いていて、でも、また振り出しに戻るような介護生活も予定しているので、気持ちをしっかりとする意味も込めて書きました。



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