整髪（父の場合）

　父は近所の床屋に連れて行き、母はお気に入りの美容院に行きます。父も母も髪を切ってさっぱりすると、デイサービスの職員さん達や周りの利用者さん達に褒められるので気分いいみたいです。でも二人とも散髪に連れて行くのは、少し大変です。

　父は、髪を切りに行こうと誘っても必ず拒否します。２、３度自分から髪を切りたいと言ったことがありますが、普段は髪が伸びてばさばさになっても床屋へ行くのを拒否します。「髪切りに行こう！さっぱりするよ！」と誘っても、「いいの！」と絶対に動きません。

　父は散髪に限らず、散歩とか、買い物とか、ドライブとか、母やmizumiuが一緒に行こうと誘っても答えはNo！です。家からどこかへ連れ出すのはまず無理です。何にもしたくないみたいです。mizumiuの勢いで父に拒否する暇を与えずに、着替えさせて出かけることもたまにありますが、それにはお互いエネルギーを使うので、病院とかで外へ出かけた時の帰りに寄るか、またはデイサービスを早退させて床屋へ直行します。

　近所の床屋さんは予約制ではなく来た順番なので、２人以上順番待ちしている時はあきらめて帰ります。父は長く待てないからです。床屋へ行ったり、順番待ちをするのを嫌がっても、さぁどうぞと鏡の前に座らせると、おとなしく髪を切ってもらっています。父はまだ社会的な関係性というか付き合いはきちんとしていて、ありがとうの挨拶はきちんとするし、他人に対して自分勝手な行動はしません。家の中と外の使い分けは心得ているみたいです。

　当たり前ですが、髪を切ってさっぱりすると、普段の生活もきちんとしてそうに見えます。特に認知症は自身を清潔に保つということが出来なくなることが多いので、入浴するとか清潔な服を着るとか、整髪するとかは周りが気をつけてあげなければなりません。こちらは親切な思いや、世間体も考えて良かれと思ってやっていることでも、認知症の本人にはどうでもいいことだったり、苦痛になったりします。難しいですが、上手くタイミングを見計らってきれいにしてあげましょう。デイサービスで散髪のサービスがあれば、それを利用するのもいいかと思います。

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