母の呼ぶ声 [母]

 「Mちゃ〜ん!」と母はベットに入るとmizumiuを呼びます。それも、なんで今頃?という理由です。mizumiuが何かをし始めると、「M〜ちゃん!ちょっと来て〜!」と呼びつけます。おとなしく寝てろ〜!と思いながらも、mizumiuはやっていることを中断して自分の部屋から母の部屋へと見に行くきます。

 母は、ずっとテレビを見ていて、居眠りしている時は、何も言ってこないのに、寝るためにベットへ連れて行き、寝かせて、毛布をかけて、「おやすみ!」と言って5〜10分経つと、目が冴えてくるのか、いろいろなことが気になってくるようです。

「Mちゃ〜ん!」
「なぁ〜に?」
「お尻がかゆいから、薬つけて!」
「さっきパット替えた時に、何で言わないの?二度手間でしょ!」
「お願い〜!」
 半身不随の身体で、脚をあげて、息をぜいぜいさせながらお尻をかいている姿をみると、薬をつけてやりますが、母は「熱いタオル持ってきて、拭いて!」とどんどん要求してきます。かゆみを我慢するのは大変なことですが、かゆみを訴える時間が、ベットに入ってからなのが、mizumiuの機嫌を損なうのです。

「Mちゃ〜ん!」
「今度はなんだ〜?」
「おしっこ出たから、パット替えて!」
「さっきトイレに行ったばかりでしょ!!なんでその時出さないの?」
「今になって出てきたの。替えて!」
「大きなパットだから一回は大丈夫だから、また、おしっこしたら言って!」

「Mちゃ〜ん!」
「脚の下に何か入れて!ちょっと高くして」
「も〜、めんどくさい!なんでさっき言わないの?柵おろして、毛布どけて、二度手間でしょ!」
と、脚を高くしてやると、
「私じゃないよ、お父さんにだよ」
「はぁ〜?なんで最初にお父さんって言わないの?それに、自分にじゃなかったら、なんでその時に言わないの?」
 柵をどけて、毛布をはがし、母の脚の下からクッションを取り出し、またかけ直して、柵を戻してから、父のベットの中に、クッションをねじ込みます。母が父にクッションを入れさせたいだけなので、父は自分がそうしたいわけではないから、布団を取られたり、脚を上げられると、嫌がるそぶりを見せます。
「もう〜、お母さん、お父さんはクッションいらないって!二人とも静かに寝てよ!!」

「M〜ちゃん!」
「なぁ〜に?」
「ちょっと来て!肩のところ、寒いから毛布ちゃんとかけて!」
「さっき、ちゃんと肩まで包んだだろ!自分で腕出してんじゃん!」
「寒いから、湯たんぽ入れて!」
「はいはい、ちょっと待って!」

「Mちゃ〜ん!」
「なぁ〜に?」
「宝くじ買った?」
「買ってない。」
「じゃ、買ってきて」
「時間ができたらね」
「だめだよ。初日に行かなきゃ!」
「うるさい!宝くじ買いに行く時間もないんだよ!自分の要求ばっかりしないの!!」

 mizumiuが洗濯をしている時や、台所で料理をしている時、部屋で何かしている時、おかまいなしに、母はmizumiuを呼びます。さまざまな理由がありますが、正直、母につき合っていると仕事がはかどりません。
「お母さん、お母さんにつき合っていたら、私、ご飯の準備できない。食事食べなくてもいいの?」と聞くと、「食べる!」と言っておとなしくなります。

 こうやって呼びつけているくせに、mizumiuが、「おしっこしてない?パット替えようか?」と聞くと、「ない」と一言、言うだけです。でも実際は、パットはおっしこでびちゃびちゃです。ズボンまで漏れている時もあります。
「おしっこしてんじゃん!!パットびっちゃびっちゃだよ!こんなんじゃ、かゆくなるのあたりまえでしょ!なんで、私が替えようって言った時、ないって言って、替えさせないの?かゆくなるのは自分のせいでしょ!」

 こんな感じで、母とのやり取りが毎日繰り返されます。母はmizumiuの顔を見ると、背中がかゆくなるらしく、「背中掻いて〜!」と訴えます。人に掻いてもらうと気持ちいいらしく、mizumiuが止めるまで、ずっと背中を掻かされます。忙しいときは、孫の手を母の背中に突っ込みます。母の右肩は意外に柔らかく、背中の真ん中にも手が届き、体中を掻きます。そして掻きすぎます。お尻や股も赤くなったり、ひどいときは血が出る程、掻きむしります。しょうがないなと思いますが、傷になるとプールには入れません。だから掻いているのを見ると、「掻かないよ」と言いますが、mizumiuに自分の用事がある時は、母のやりたい放題にさせます。

 以前、母が入院している病院の同じフロアに、看護士さんにいつも何度も「おしっこしたい。トイレ連れて行って!」というおばあちゃんがいました。看護士さんたちは、そのおばあちゃんのことを、オオカミ少年のように扱い、無視していました。また、「看護士さ〜ん!」と何度も呼ぶ寝たきりのおばあちゃんがいて、その人は「のどに物がとおらない」と訴え続けていました。周りの人が気を使って、看護士さんを呼ぶと、「いつものことだから」と相手にしてませんでした。

 この二人のおばあちゃん達は、認知症が始まっていたかもしれませんが、ただたんに寂しかったのかもしれません。母がmizumiuを呼ぶのは、果たしてどちらなのでしょうか。一応、母はmizumiuが機嫌を損ねていると呼ばなくなるので、手がかかるだけの状態なのかもしれません。ただ、朝、一時間とか二時間前にmizumiuを呼ぶのは止めてくれと切に思います。でも介護生活の中で、mizumiuは母の小さな声でも起きる習慣がついてしまっています。たまに聞こえませんが。



 






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