認知症の現れ方（エロス）

　認知症になると、それまでと違う人格というか性格が出て来て、周りを困惑させることがあります。昔はああじゃなかったのに。お父さんはあんな風にはしなかった。もっと出来るはずなのに。身近な人の変わってしまった姿や、だんだんと違う人になって行く変化に対応できずに、苦しんだり、怒りを爆発させてしまうこともあります。

　最近母から聞いた話ですが、性に対する反応が強く出るタイプの認知症の方がいました。その方は、母と同じテーブルで何回か食事を一緒に摂られたことがある女性で、70歳代だと思います。彼女が母に話しかけてきて、あなとの息子さんと結婚させて欲しいと言ってきたそうです。

　母は、息子は結婚して子どもも孫もいますから、出来ませんと答えたそうです。そしたら、あなたに聞いているんじゃないんです。息子さんのことをなんであなたが決められるんですかと食い下がり、今度は隣に座っている父を見て、では、旦那さんと結婚させてくださいと言ってきたそうです。父は、黙って座っていたそうですが。

　母は、この人は私と結婚しているからダメですと答えたら、あなたがなんで決めるんですか。私はこの人の気持ちが聞きたいんですと、何度も聞いてきたそうです。母はうんざりしてしまったそうですが、この利用者さんには、お気に入りの介護士さんがいるそうで、その人を捕まえて、結婚したいと言っているそうです。

　実際のところ、この利用者さんは結婚していて、子どもも成人しているそうです。ですが、職員の股間に手を伸ばして、これが欲しいのと言ったり、結婚してと繰り返したり。職員さんも自分は結婚していますと答えているようですが、本人は意に介さず、何度も言ってくるそうです。

　父と母を自宅介護している頃、父のお迎えの車に、すでに乗っている利用者さんがいて、その人も、エロジイさんでした。mizumiuの顔を見ると、投げキッスしてきたり、一緒に行こうと誘ったり、子どもや動物にするように、自分の膝をたたいて、こっちへおいで、ここに座りなさい、アピールして来たりしてました。

　認知症になって、スケベになったり、下ネタを連発したり、異性に積極的になったりする姿を見ると、他人なら笑って見ていられますが、自分の家族となると、結構なストレスになると思います。幸い、父はスケベにはなりませんでしたが、もしエロ全開になっていたら大変だっただろうな〜と思います。

　本人は自分がどう見られているのかは分からないかもしれませんが、もし、認知症になって、それまで押え込んでいた感情が出て来ているだけならば、周りは暖かく見守ることしかできません。それでも家族は相当なストレスになるでしょうけれど。相手は病気なんだ、脳が誤作動を起こしているだけなんだと、割り切って対応するのが一番です。そうは言っても、家族は大変ですね。

　「老いて益々壮ん」という言葉もあるように、高齢者だからと言って性欲がない訳ではないと思います。人間の根源的な欲求は消えないのでしょう。おかしな行動をされると、周りは大変、とっても迷惑、でも、何の反応もなくなると、今まで嫌だと感じていた言動が懐かしくなったりします。あくまでもmizumiuの経験ですけれど。

　

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