母は積極的です。 [母]

 父と母の入所している施設へは一週間に一度は顔を見に行きます。今日は、お昼前に母から電話がかかってきました。

「Mちゃん、お母さんだけど」
「なあに?」
「今日、クッキー持って来て」
「なんで?」
「お腹空いてんだよ」
「そうなんだ」
「お父さんにも何か持って来て」
「大根炊いたやつ持って行くよ。他には?」
「お水も持ってきて」
「お水は職員さんに言えば、出してくれるよ」

と、こんな会話を交わしました。母は会いに来てと直接言えないのです。電話してくると必ず、お父さんがお腹空いているからとか、お父さんが元気ないからと言います。一度、「私に会いたいって何で言わないの?素直じゃないな〜」と言ったら、「お互い様だ」と返されました。それでも、電話したいと言えば、電話させてくれる施設に感謝ですし、ちょうど行くつもりだったので、昼後に会いに行きました。

 実は父の体の機能はゆっくり落ちていて、嚥下の能力が下がっているから、胃ろうにしますか?と先月先生に言われました。このままだと2、3ヶ月で口からの食事が出来なくなりますと。mizumiuも母も、胃ろうには反対です。今施設で出されているのは、ペースト状の食事ですが、もう少し形のある食事に変えて欲しいと言っても、誤嚥の可能性があるので変えられないと言われました。カロリーは必要量摂取していますよ、と言われても、これが毎食なら嫌になるなと感じる見た目と量です。

 実は父は昨年末に誤嚥性の肺炎になり、入院してました。抗生剤が効いて、熱が下がって本当に安心したのですが、高齢者の肺炎の怖さを知りました。施設としてはリスクを避けたいのでしょう。mizumiuは、父が口から食べられなくなったら嫌だなと思いました。それで、施設には内緒で、野菜をやわらかく炊いたものや、少しは歯ごたえのあるおかゆを作って持っていき、父に食べさせています。

 クッキーもお茶に浸して、少しふやかしてあげています。ベットで寝ていて頭を上げた状態の父は、ごくたまにむせたりしますが、しっかりと口を動かして食べています。入れ歯はすでに口に合わなくなっていて、残っている数本の歯でもぐもぐさせて食べています。ペーストにしなくてもちゃんと飲み込むことが出来るのです。mizumiuが食べ物を与えているのを、施設の人ももちろん気づいています。一度母に、「どれくらいのものを食べたの?」と聞いていたそうで、母は手を使って、「これくらいの大根とカボチャと・・・」と応えたそうです。

 それを聞いてmizumiuは、「今度から、娘に聞いてくださいって言いなね」と母に言いました。いけないことかもしれないけれど、食事をあげるのを止めません。止めろと言われても、すると思います。身勝手かもしれませんけど、料理も上手じゃないですが、ちゃんと食べてくれる間は、与えたいと思っています。

 今日父はひげを剃ったらしく、顔がぴかぴかして色艶がよかったので、おでこにチュッとしました。そして母にも、「お母さんも、お父さんにキスしてあげて!」と車イスを父のベットサイドに近づけました。父は自分では動けないので、母が少し身を乗り出すのですが、20センチ程の距離が縮められません。そこでベットの頭を上げて、ベットの柵を取り外しました。そしたら、父のおでこにチュッと出来たのです。母は、「お父さん、愛してる」と言って、鼻にもキスして、唇にもキスしようとしましたが、そこはまた5センチほど届きませんでした。

 「あら、お母さん、意外と積極的ね」と言って、父の顔を見たら、最近はほとんど表情が出ない父ですが、少し困ったような、恥ずかしそうな顔をしていたので、笑ってしまいました。mizumiuが無理にさせたことですが、母は母で、ノリがいいというか、こうでもしないと父に愛情表現出来ないというか、夫婦って面白いなと思いました。




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