母が帰ってきました。

　今日から三週間、母の自宅介護が始まります。母を迎えに行き、昼食を準備して食べ、担当者会議が家で開かれ、尿取りパッドを買いに行き、夕飯の準備をして食べ、荷物の整理、契約書等の書類にサインしたりと、朝からいろいろ動きました。長い一日でした。


　朝９時半過ぎに施設に母を迎えに行くと、母の荷物がまとめられていました。母が退所中もベットは確保するという話でしたが、そのまま部屋に荷物を置いておく訳ではなく、保管場所に置くそうで、この中で必要な物があれば持って帰ってもいいし、置いて行ってもいい、どうしますか？と聞かれました。この荷物の中から要る物と要らない物をピックアップする気力はなかったので、ひとまず全部持って帰ることにしました。

　意外に中が広いホンダFitには、難なく荷物を収納することが出来ました。母を助手席に乗せて、シートベルトをしようとしたら、なんと母は麻痺している左手をズボンの中、いや、リハビリパンツの中に突っ込んでいるのです。「あら、お母さん、そんなとこに手突っ込んで、やだ〜。出して出して！」とmizumiuが左手を引っ張りだしたら、一言、「あったかいんだから〜」。

　それを聞いて、施設の相談員と見送りに来てくれたリハビリ担当者が、プッ！と笑いました。今流行っている「あったかいんだから〜」と微妙に音程が違っていたし、母はそのお笑い芸人のことを知らないので、笑いを取るためにボケたのではないのですが、素の返事でタイムリーな笑いを提供してくれた母に、mizumiuも笑っちゃいました。やるじゃん、お母ちゃん！

　母が退所すると知って、「どうして？夫婦は一緒にいるのがいいのに！」と言ってきた利用者さんもいたようです。98歳になる一人の女性の利用者さんは、わざわざ車まで見送りに来てくれてました。母は、自宅に戻るのは施設の都合だからと言って、私が帰りたいと言った訳ではないみたいな返事をしたようです。でも、家に帰ることが決まってから、何度も嬉しそうにいつ帰るの？と聞いていた母でした。

　家に帰って、レンタルしていた車椅子に座らせようとしたら、空気が抜けていました。ずっと使わずに置いてあったので当たり前ですが、自宅にある空気入れで空気を入れようとしても出来なかったので、そのまま使用して、担当者会議に来たレンタル業者さんに空気を入れてもらいました。

　13時に担当者会議がありましたが、ケアマネージャーさん、デイサービスとデイケアの相談員さん、レンタル業者さん、老健の相談員さんの計５人が家に集まりました。ちゃんとお茶菓子を用意しろと母が言っていたのですが、もちろんそんなことは分かっていて準備していましたが、実は母がお菓子を狙っているのをちゃんと知っていたmizumiuです。それでも、担当者会議が終わってmizumiuが後片付けをしている間に、３つ残っていたお菓子の二つ目を食べている母に気づいて、急いで取り上げました。うっかり目を離すとすぐにやられてしまいます。「血糖値上がっているんでしょ！だめ！！」と叱りましたが、時すでに遅し。

　昼食を食べ終わってすぐに「お腹空いた」と言うし、完食しても「ごちそうさま」とは言わない。それも以前と変わらない母の態度なので、穏やかに対応しているmizumiuです。「お味はどうですか？」と聞くと、「美味しいです」と答える母。何でも美味しく食べてくれるのは、料理が好きではないmizumiuにとっては、ありがたい限りです。

　母は尿の量が多いのですが、夜間、パッドを替えたりしなくてもいいように、施設で使っている吸収率の高いパッドを教えてもらっていたのですが、それは近所のドラッグストアでは売られていないので、それを買いに介護専門店へ行きました。そしたら、施設の相談員さんが連絡をしてくださっていたようで、担当の方がすぐに母に必要な尿取りパッドやリハビリパンツを用意してくれました。そして、サンプルだと言って、吸収率の違う尿取りパッドを一袋おまけでつけてくれたのです！すごい！買えば1600円くらいはします。これで母が自宅で過ごす間は、尿取りパッドの心配はしなくて良さそうです。

　お昼前に家に帰って来てから、今日母は３回便をしました。正確に言うと、便が漏れて、パッドを汚していました。トイレでお尻を奇麗にしながら、自宅介護している実感が湧いてきました。初日で３回です。明日からはデイサービスに通うので、回数は減るかもしれませんが、下の世話を今日は淡々とこなすことが出来ました。初日ですから。夕食後、施設から持って帰ってきた荷物の中に洗濯物があったので洗濯したら、洗濯槽の中に白い物が浮いていました。ティッシュです。ポケットに入っていたのを確かめるのを忘れて、洗濯を始めてしまったのです。やられました。母はなぜかティッシュをいつも手に持とうとするし、ポケットに入れたり、そんなに使わないのに多くもらったりするのです。それがあちらこちらに挟まっていたりするのです。初日から仕事増やされたな〜と、確認しなかった自己を反省しながら、服にまとわりついた、水で細かく切れたティッシュを取りました。

　食事をする時は、早食いする母をたしなめながら何度も「お母さん、ゆっくり、よく噛んで食べて！玄米だからね。すぐに飲み込んじゃだめだよ」と言うのも、自宅介護のやり取りです。今日母はよく昼寝してましたので、夕飯後はベットに入るまでずっとテレビを観ていました。その間にmizumiuはデイサービスの契約書にサインです。今日で何度、住所と母と自分の名前を書いたのか、分かりません。利用契約書、重要事項説明書、個人情報の使用に関する同意書にサインし捺印したのですが、家族控えとデイサービスへ提出する分があります。利用するデイサービスは今回３週間だけですが、３つあります。月水金に通うデイケアと、火木土に通うデイサービスと、日曜もやっているデイサービスです。利用料金の引き落し書類も書きましたし、印鑑も３つ使ったかな。めんどくさいですが事務手続きは、一つ一つ、ただひたすらこなすだけです。

　昼間目薬指すのを忘れていたので、夜は点眼しました。それも３種類です。骨粗しょう症予防のための薬も一週間に一度服用させることになっているし、朝夕のお薬も忘れてはなりません。毎日、デイサービスへ行く準備をして、洗濯して、食事して…。あっという間に時間が過ぎて行きます。自宅介護は始まったばかり。母が３つのデイサービスを楽しんでくれること、それが第一ですので、３週間mizumiuもがんばります。




　

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